高専からの大学編入は本当に「お得」なのか?

大学編入・高専

去年,このような記事を見つけました.

[記事全文]東大、東北大、早大…5年制「高等専門学校」はなぜ難関大学の編入に強いのか | デイリー新潮
2020年度から始まる「大学入学共通テスト」での英語民間試験の活用が延期になった。…

この記事では,とにかく高専から大学への編入が現状では「お得」だと言っています.

倍率が低く,試験科目が少ない,併願もできるし学費も総合的に安くなりやすい.

地域トップの進学高の偏差値より,10前後低い.それでいて東大,東北大,早大などの難関大に入れると.

もちろん間違ったことは言っていないのですが,高専から大学編入への道を進むことは,必ずしも「お得」なことだけではない.「失う」ものもある,という事を知って欲しくこの記事を執筆しました.


私は実際に高専から大学に3年次入学しました.私の実体験を踏まえて,高専に入ることのメリット・デメリット,そして高専から大学に編入するとはどういうことなのかを書きとめていきたいと思います.

これからの進路を考えている方の参考になればと思います.

高専(高等専門学校)とは

高等専門学校(こうとうせんもんがっこう)は、後期中等教育段階を包含する5年制(商船に関する学科は5年6か月)の高等教育機関と位置付けられている日本の学校 。一般には高専(こうせん)と略される。 学校教育法を根拠とし「深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成する」ことを目的とする一条校である。

主に中学校卒業程度を入学資格とし、修業年限5年(商船学科のみ5年6か月)間の課程のもと、主に工学・技術・商船系の専門教育を施すことによって、実践的技術者を養成することを目的にした教育機関である。

出典:高等専門学校 – Wikipedia

Wikipediaにはこのように書かれております.

高専は高校と同じく中学卒業してから入学することができますが,高校は3年間なのに対し,高専は5年間あります.

また,高専には普通科というものはなく,基本的には工業系の学科で構成されており,一年生から工業系の専門科目を学ぶことができます.工業系だけではなく商船系,文系の学科もあります.


高専5年間で大学工学部学部卒の知識が身につくと言われています.(これに関しては正しいとは言えませんが…ただ匹敵するような知識は付くと思います)

「完成教育」を標榜する教育機関であることから、5年制の課程を終えた卒業生の過半は就職を選択してきた。就職希望者に対する求人倍率は常に高校卒・大学卒を大きく上回り就職率はほぼ100%となっている。一方で学生の進学意欲に応えるため、主に高専卒業生を受け入れ対象にする2年制の専攻科が各校に設置されている。本科卒業後は大学編入学(主に3年次編入学)、専攻科修了後は大学院進学の道もある。

出典:高等専門学校 – Wikipedia

以上に書いてある通り,高専の就職率はほぼ100%です.


そして高専の面白いところの一つは,大学に編入学することができることです.これに関しては次の項目で詳しく述べていきたいと思います.

大学に編入学するほか,高専専攻科に進学するという道もあります.
これは高専5年間の課程を終えた後,あとプラス2年間,専攻科という所に在学することで大卒と同等の学位(学士)が得ることができます.

ちなみに高専卒は準学士という学位がもらえます.

3年次編入学とは

高専から大学に行こうとするとほとんどが3年次編入学という道を行くと思います.(知ってる限りだと東大,京大は2年次編入です)

もちろん中退してセンター試験経由で行くという道もありますが.

ちなみに高専生に限らず大学生や短大生にも編入試験を受ける資格はあるにはあります.(募集要項を確認しましょう)

まれに高専生じゃないと受け入れてもらえない…みたいな状況はあった気がします.


編入試験は一部の大学の一部の学科でしか行われませんが,基本的に国立の大学の工業系の学科は編入試験を行っています.

そのため,高専生は基本的に国立の大学なら編入試験を受けて3年次に編入することができます.


編入試験の特徴は,普通の大学受験よりも試験科目が少なく,倍率が少ない.そして日程さえ被らなければ国立大学であろうが何個でも受験できるという特徴があります.

これだけ見ればいいことだらけのように見えますが,決して受かりやすいわけではなく,もちろん必死に勉強しなければ受かりません.

そもそも大学入学試験とは範囲も難易度も違います.大学レベルの知識が求められるので…

倍率も筑波や横国なんかは10倍ほどあり,多いところは多いんです.

そのため,一般受験とは一概に比較できないのではないかと思います.

でも,実体験から言うと割と短期間集中すればある程度の大学には受かることができるので,専門科目が好きで得意ならば一般受験よりは受かりやすいのではないのかとも思います.

こればっかりは人によるとしか言いようがないですね.

あと編入試験は情報が少ないので,割と情報戦です.大変です.


あと編入生は3年次にいきなり放り込まれるので,自分次第ですが普通に入るより孤立しやすいです.

高専に入ることのメリット

  • 5年間もある
  • 専門的な知識を早い段階から学べる
  • 就職率ほぼ100%
  • 大学に編入学できる
  • 専攻科の存在
  • 校則が比較的自由
  • 長期休暇長い
  • 学費安め
  • 寮生活ができる
  • やばい人(いい意味で)が多い
  • オタク多め

こんなところでしょうか.実体験を含めて書かせていただきました.

・5年間もある

時間がたっぷりあるため,留学などやりたいことが高校よりもしやすいです.

・専門的な知識を早い段階から学べる

言葉通りです.例えば1年生からプログラミングを学べます.

・就職率ほぼ100%

ほんとにほぼ100%です.実は就職もしない人は大抵学校に来なくなってフェードアウトするんです(闇)

・大学に編入学できる

先ほど言った通り,比較的楽に編入できるのでメリットです.

・専攻科の存在

高専5年間の課程にプラスして2年間の専攻科というものがあります.

これにより,高専5年+専攻科2年(=7年)で大卒と同等の証である学士がもらえます.(高校3年+大学4年=7年みたいな)

ちなみに,専攻科を終えたのちに大学院進学するという道もあります.

・校則が比較的自由

「ピアス いらすとや」の画像検索結果

染色やピアスに関しては割と緩い印象です.学校によりますが私服OKだったりもします.

・長期休暇長い

普通高校と比べて明らかに長いです.夏休みは8月9月いっぱいなんてのもざらです.

・学費安め

国立なので安いですね.

・寮生活ができる

「高専 寮」の画像検索結果
出典:熊本高専

私は寮生活をしていましたが,個人的には大満足しています.

同じ屋根の下で暮らす友達は一生ものです.

そりゃあ低学年の頃は謎の規則に縛られたり,一発芸を強制されたりもしましたが…

しかし,学校まで徒歩3分といったところや,レポートや課題でわからないことがあるとすぐに聞きに行ける状況はありがたかったです.

・やばい人(いい意味で)が多い

なんかプログラミングすごい人とか,頭おかしくて面白い人とかが多い印象があります.

後者はメリットなのかどうなのかはわかりませんが,普通に面白いし,貴重な?人と知り合えます.

・オタク多め

ヲタ芸・オタ芸のイラスト

ゲームやアニメ好きの人が多いので,そういうのが好きな人にはかなり過ごしやすい環境だと思います.

高専に入ることのデメリット

  • 5年間もある
  • 進路の変更がしづらい
  • 赤点60点
  • 大卒扱いにはならない
  • 一般教養の知識に欠ける
  • 大学行事少なめ
  • レポートやばい
  • 留年しやすい
  • 女子少ない
  • 「高専病」の存在
  • 寮飯まずい

こんなところでしょうか.最後の方は結構ネタっぽいですが(笑)

・5年間もある

これは人によってデメリットにもなるんでしょうか.

なんせ小学校より1年少ない程度でめっちゃ長いですからね.

在学期間の長さからだらけてしまったり,5年間も通わなければいけないのか…といった感じで高専への進学を躊躇してしまうという状況が考えられます.

・進路の変更がしづらい

中学卒業して,高専に入学した時点(15歳?)である程度将来の道が決まってしまうんです.

基本的に工学系の学科なため,エンジニアなんかの技術職を目指すことになるでしょう.

残念ながら高専から医学部にはストレートに行けません…

そのため,進路を変更しようとなると,中退するなりしなければいけないのです.

・赤点60点

テストを見て落ち込む生徒のイラスト(男子学生)

高校の赤点の基準がわからないのですが,高いみたいです.

でも,大学と一緒ですし,きちんと勉強していれば基本的に赤点は取りません.

もちろん科目によりますが.

・大卒扱いにはならない

短大卒のような扱いか,高専卒と扱かってくれるかになります.

企業が高専生の事をわかっていて評価してくれているならある程度良い扱いをしてくれると思うのですが,高専の知名度は決して高くなく,雑な扱いもされるかもしれません.

大卒と同等の学位を取るには,大学編入学か専攻科へ行く道を薦めます.

・一般教養の知識に欠ける

一応国語や歴史といった授業もあるのですが,なんというかしょぼいです(笑)

私の学科は地理がそもそもなく,歴史も世界史しかしませんでした.

国語も古典とか身についてたのかよくわかんなかったです.

高専生は英語ができないと言われますが,このためです.

英語のテストはワークの問題そのまま出たりして,割とひどかったです(笑)

まあ歴史や国語は編入試験で出るわけではないので…いいのかな??

こんな感じで普通高校と比べてあれなので,一般常識もないです(笑)

・大学行事少なめ

修学旅行とか運動会とか無かったりします.学校によるんでしょうけど.

文化祭は大体ある印象です.

・レポートやばい

焦って書類を書く白衣の人のイラスト(男性)

毎週実験,毎週レポートがあったり,他の専門科目でもレポートあったり,レポート地獄でした.

・留年しやすい

高専は留年率が高いと言われており,それは事実です.

私のクラスも同級生が留年して減ったり,上から留年生が降ってきたりして毎年クラスの顔ぶれが変わってカオスでした.

赤点60点だったり,レポート多かったり,基本的に大学と似たような感じなので必然的にそうなってしまうんですよね.

ちなみにちゃんと勉強していれば絶対留年しません.

留年する人は能力不足っていうより,勉強していないか提出物を出していないか学校に来ていないかです.

・女子少ない

割と重要なポイント.学科によりますがとにかく少ないです.

そして普通科高校にあこがれるのです…高専生に青春なんてありません…

・「高専病」の存在

女子が少ないに関連します.詳細はこちらへどうぞ(笑)

とにかく女子が少ないため,女子をかわいいと感じるハードルが極端に低くなったりするのです.

挙句の果てには男子学生も恋愛対象に…

・寮飯まずい

山菜ご飯のイラスト

寮に入っていると3食ご飯が出ます.

ありがたいのですが,これはとにかくまずいです.

味付けおかしかったり,ゆで野菜なのに半生だったりします.

ちなみにいろんな高専の友達に寮飯どう?って聞いたら全員まずいって返ってきました.

なので寮飯がまずいのは全国高専共通です!!!!

私が高専に進学した理由

遠い所へ進学して環境をガラッと変えたい,プログラミングを学んでアプリとか作ってみたい,寮生活したかった,みたいな感じですかね.

決して意識高い系ではなくて,高専行けば将来安泰だろみたいな軽い感じで進学した気がします.


でも高専に進学して後悔はほとんどしていなく,高専生活に満足できたためよかったです.

正直高専はそんな軽い気持ちでいくようなところではないと思います(笑)

編入生の実態

私が実体験より感じたことや,一般的に言われていることについて書きます.

  • 友達ができづらい
  • 単位変換が大変かも
  • 授業いっぱい取らなければいけないかも
  • 東大・京大は2年次編入
  • 院進じゃなければ即就活
  • 編入生は優秀扱いされがち

しかし…

  • 大学生活を楽しめる!
  • 環境をガラッと変えてやりたいことができる
  • 大卒資格GET

こんなところでしょうか.編入生はいきなり忙しい3年生に放り込まれるのでそりゃ大変なんです.

・友達ができづらい

これは一番感じたことかもしれません.

3年生にもなると周りの人たちは既に友達ができていてグループもできています.

そのため,どうしても作りづらいです.

これは自分次第ですが,実験で同じになった人と仲良くするなり,サークル入るなりで解決はできます.

・単位変換が大変かも

私はあんまり苦しまなかったのですが,もし専攻を変えたりしたら大変になるかもしれません.

単位変換とは,高専や前の大学で取った単位を大学1~2年次の授業の単位に変換するというものなのですが,編入先の大学で開講されている講義と似たような内容の単位を編入前の学校で取っていないとスムーズに変換できないのです.

・授業いっぱい取らなければいけないかも

私もこれに関してはあんまり苦しみませんでした.もし単位変換がうまくいかず,あまり編入前の大学の単位が認められないと,編入先の大学で授業をたくさん取る必要があります.

・東大・京大は2年次編入

私が知る限り,東大と京大は2年次編入です.

これを一浪と同じ!という感じでデメリットと捉えるか,時間たくさんあるじゃん!といった感じでメリットと捉えるかは人それぞれですね.

・院進じゃなければ即就活

大学3年生って冬~春にかけてもう就活しなければならないんですよね.

インターンも含めるともっと早いです.

準備期間が短く,編入してバタバタしてるのに即就活!って感じになるかもです.

・編入生は優秀扱いされがち

編入生ってなぜか知りませんが頭いいイメージあるみたいです.内部生から聞きました.

必要以上に期待されるかもしれませんね(笑)

・大学生活を楽しめる!

大学は高専と全然違います!

サークルとか活発ですし,研究施設も充実.なにより女子が多い!

高専にはなかった雰囲気を楽しめます.

・環境をガラッと変えてやりたいことができる

その言葉の通りです.大学はいいところです(適当)

・大卒資格GET

私が高専に進学した理由の一つです.

大卒の資格が欲しいという高専生は結構いるのでは?

まとめ

高専から大学編入することで「お得」なこと

やはり編入試験は試験科目が少なく,倍率も比較的低く,日程が被らなければ何個でも併願できるということが,一般受験と比較して「お得」であると言えるでしょう.

決して難易度は低くなく,むしろ高いと思うのですが,一般受験よりは狭き門ではないのかと思います.

勘違いしないでほしいのは,そんなに簡単に難関大に受かるわけではないということです.(そもそも一般受験と比べて編入試験に関する情報量が少なすぎます)

高専から大学編入することで「失う」もの

  • 高専に進学することで,進路がある程度定まってしまう
  • 編入先では人脈が作りづらい
  • 青春が無い
  • 一般教養の知識がない(なんなら一般常識も?)

こんなところでしょうか.

やはり,高専に進学するとその時点である程度将来の道が決まってしまうのと,大学1年2年という楽しい時期が無くなってしまうのが大きいと思います.

個人的には普通科高校のような青春も無いのは結構残念かと(笑)

最後に

高専からの大学編入は本当に「お得」なのか?について執筆しました.

確かにお得かもしれませんが,失うものもそれなりにあるのでプラマイゼロかと思います.

個人的には,高専生の実態も編入生の実態も大して理解していないのに,編入は裏口入学みたいなことを言うのはやめていただきたいです(笑)

以上です!何かあればコメントどうぞ.

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